日本人は歯並びが悪いといわれています。しかし、歯列矯正をする習慣は欧米ほど一般的ではありません。その原因は歯並びが悪くなることで起こる弊害に関する知識が広まっていないことが考えられます。
歯並びが悪くても生活に困らない、それは確かです。
悪い歯並びといわれている出っ歯(上顎前突)を売りにしている芸人さんや八重歯をチャームポイントにしているアイドルもいます。
それは「生活に困らない」程度の悪さだからに過ぎません。生活に困らないのであれば矯正する必要はないかもしれません。
しかし、歯並びが悪いことで外見だけでなく、体の内側の健康を損ねてしまうことがあるというのは本当のことです。
「並びが悪いっていっても生まれつきだし、美容整形みたいものには近寄りたくないんだよね」
それはある意味正しい意見ですが、大筋で間違っています。
正は本来あるべき場所に歯を戻す治療ですからいわゆる美容整形とは違います。
確かに歯並びが悪くなる原因のひとつに遺伝の問題はあります。でも、もっと大きく作用しているのは1〜3歳くらいの習慣です。
2歳半を過ぎても指しゃぶりをしていると指によって歯が押されて出っ歯の原因になります。爪を噛むクセや左右どちらかの歯で物を噛むクセも歯並びを悪くします。舌で常に歯を押すクセがある場合も出っ歯や受け口になってしまう可能性があります。
いつも頬杖をついている子、口を開けて寝るクセがある子も歯並びが乱れるリスクが大きいといえます。
乳歯のうちに歯並びが悪くても永久歯に変わればなおるんじゃないの、と思われるかも知れませんが、そうはいきません。永久歯は乳歯の付け根に誘導されて生えてきます。乳歯の生えている方向が曲がっていればそちらに導かれていってしまうのです。それに3歳くらいになるとすでに歯茎の中で永久歯に成長が始まっていますから、外部からの影響を受けてしまいます。
きれいに並んでいる歯とガタガタの歯では歯磨きのしやすさが違います。重なり合っている部分などはブラシの毛が入り込んでいかないので歯垢がたまりやすく虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
寝ている間の食いしばりや歯ぎしりの時、噛み合わせが悪いと特定の歯に荷重がかかって、歯を守るエナメル質にひびが入ったり、歯が欠けて知覚過敏になったりします。割れたり欠けたりした部分からは細菌が入りやすくなってしまいます。
歯茎にも余分な負担がかかり、歯周病にもかかりやすくなります。
噛み合わせの悪いことで全身のバランス崩れ、体のあちこちに様々な悪影響が出ることも報告されています。
三歳検診の時に歯並びの悪さを指摘されたら矯正のことを考えましょう。
例えば反対咬合と診断されたらムーシールド(寝るときに使うマウスピース形の矯正器具)の使用について歯科医に相談してみるといいのではないでしょうか。
矯正は体の成長に合わせた方が無理なく行うことができ、体への負担、矯正にかかる費用と時間も軽くて済みます。子どもの頃に行った矯正は大人になると元に戻ってしまうという説もありますが、何もしないよりも軽度で済みます。
矯正は子どもの時に行う方が効果的ですが、大人になってからでも遅くはありません。なにをやっても体の疲れがとれない、肩こりがひどい、腰痛が治らないなど原因のわからない症状が出ているなら噛み合わせの悪さから来ている可能性を疑ってみてもいいかもしれません。
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