歯周病は虫歯と合わせて日本人が歯を失う原因のトップに位置しています。歯周病は歯茎が衰えて歯との間に隙間(歯周ポケット)ができ、そこに細菌がたまって起きる病気ですから、歯肉が弱ってくる中年以降にかかる病気だと思われていますが、実は子どもでも発症する例が多いのです。
厚生労働省の調査によると10歳以上の子どもの2人に1人は歯肉炎にかかっているといいます。歯肉炎は歯周病の初期段階です。4人に1人は歯石が歯に沈着しているという結果と合わせて考えると、その原因は歯磨き時のブラッシング不足だといえます。
歯周病とは、歯肉炎や歯周炎といった歯茎(歯肉)周辺で起こる細菌感染症です。発症の原因は虫歯と同じで歯と歯茎の間にたまった食べかすが細菌によって歯垢になり、歯垢の中の歯周病菌が歯茎を腫れさせます。
食べかすが病気の原因ですから、考えられるのは歯磨きが不足していること。歯を磨く習慣はついていても磨き方が間違っているからです。
子どもが好きだからといってやわらかいものばかり食べさせたり、甘いものを多く与えたりするのも問題です。
噛む回数が少ないと唾液が充分に出てきません。唾液には歯の発育を助けるカルシウムやリンが多く含まれていますから歯の表面に多少傷がついてもその力で再石灰化して修復することができます。しかし、やわらかいものばかり食べていては唾液の量が足りず、充分な力を発揮できないのです。
糖分は細菌の一番の好物です。常にお菓子やジュース、スポーツドリンク与えるのは歯周病菌を喜ばせてしまうことになります。
歯垢がたまって歯や歯茎にくっつくと、それが歯石になります。歯石になるとより汚れが残りやすくなるため、細菌はドンドン元気になっていきます。元気になった細菌が歯の周りの組織を壊していき、悪化していけば歯を支える歯槽骨まで溶かします。そのせいで歯が抜け落ちてしまうことになります。
子どものうちにそこまで病状が進むことは希ですが、早い年齢で歯を失うリスクは大きくなります。
子どもの歯茎が赤く腫れていたり、ぶよぶよしていたり、押すと出血があるような場合は歯周病にかかっている恐れがあります。
歯周病の疑いがある時は歯医者の診断を受けてください。
歯周病の初期段階であれば、歯医者でお口の中のクリーニングを受け、その後きちんと歯磨きを行っていれば回復します。
歯科医では歯周ポケットの測定を行い、歯と歯茎の内部をレントゲンで観察して、歯にこびりついた歯石などをきれいに取り除きます。細菌に対抗する内服薬を併用する場合もあります。ひどく悪化しているときには手術が必要になりますが、子どもの歯肉炎であればまず必要ありません。
肝心なのは普段からのプラークコントロールです。
歯医者でお口に中を綺麗にしてもらったら、その場で歯磨き指導を受けてください。正しいブラッシングの仕方と歯茎のマッサージ方法を覚えましょう。歯の隙間を磨くのに効果的なデンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトの使用法も教えてもらってください。自己流とはまったく違う気持ちよさに驚くと思います。
普段のホームケアと数ヶ月に1度の定期検診で適切にプラークコントロールを行っていれば、歯周病も虫歯も寄りついてきません。
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